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April 09, 2013

ジャレド・ダイアモンドが日本人のオリジナリティを論じたら

ジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」草思社文庫 では、人類の能力は人種によって変わることはない、という前提で五つの大陸で文明の発達に差異が生じたことの疑問を提起し、考察している。

例えば、「ヨーロッパ人はアメリカ先住民の土地にやって来て征服者となったが、その逆は、なぜ起こらなかったのだろうか。」という疑問である(下)P272。

これは、『なぜ、日本は黒船の来訪に驚き、開国し、明治維新後ヨーロッパ人に征服されずにはすんだものの、自ら積極的にヨーロッパ文明を模倣し、結果としてヨーロッパ文明に精神的に支配されることとなったのか』という疑問に通じる。

また、ひいては、人間としての能力に差異はないにもかかわらず、なぜ日本人はオリジナリティに欠ける、といわれてしまうのか、という疑問にも通じる。

そこで、日本人のオリジナリティについて、ジャレド・ダイアモンドに語ってもらったらどうなるであろうか・・。

1)人間は、発明する能力において差異はない。よって、日本人にもオリジナリティを発揮する能力はある。

2)日本の地理的位置は、ユーラシア大陸の東端にある。

3)ユーラシア大陸では、世界四大文明(メソポタミア文明・エジプト文明・インダス文明・黄河文明)のうち、3つが生まれ、アフリカ大陸のエジプト文明もユーラシア大陸に隣接している。

4)文明の伝搬は、大陸の南北方向より東西方向(水平方法)の方が広がりが大きい。(これは、気候条件などが水平方向の方が均一だからではないだろうか)

5)独自開発より経済合理性が高ければ、模倣を選ぶという結果になるのは必然である。


以上からすると、日本は、ユーラシア大陸の文明が丁度よく流れ込む位置にあったので、日本人が独自に発明するより先に大陸から高度な技術等が流れ込んで来る状態であった。日本人はオリジナリティがないというのでなく、独自にオリジナルを作る必要がなかった。日本人がオリジナリティを発揮する場面は、導入された技術を改良する点に集中された。 このような結論が妥当なのであろう。

ICTの発達により、情報の流れが変わり、地域的偏差がなくなってきている。このことは、人類のオリジナリティの発揮にどのような影響を与えるのかは興味深い。メイカーズ革命はその一例であろう。 現代日本においては、もはや地理的要因よりも、言語の差異による影響の方が大きいのではないであろうか。情報の伝搬に言語の差異は少なからず影響を与えるからである。しかし、これも時間の問題である。与えられる条件が同一となったとき、真のオリジナリティの有無がわかる、いうことであろうか。

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