スティーブ・ジョブズ「Steve Jobs」の知財(4)・・Think different
発明、考案、意匠、商標、著作物、不正競争等、知財の対象となるものの共通点を考えてみて欲しい。共通するのは「違う」ということである。発明や考案、意匠は、先人の発明等と異なる新規なものでなければ、登録されない。著作物も他人の表現とは異なることが前堤である。不正競争行為は、簡単に言うと他人と同じことを不正にしてはいけないということである。
このことから、知財が知財たる為には、「違い」が必要である、ということがわかる。
スティ一ブ‧ジョブズは、この点を意識してか、「Think different」と言っている。考え方を変えなければオリジナリティ豊かな創作(知財)は生まれない。
では、すべての創作をスティーブ‧ジョブズが行ったかと言うと、必ずしもそうではない。かと言って、単に他人のアイデアを盗んだだけなのか、というと、そうではない。
マッキン卜ッシュは、元来ジェフ‧ラスキンの考えていたコンピュー夕であった。ラスキンは、
スクリ一ンもキ一ボ一ドもコンピュ一夕もー体となった家電のようにシンプルなマシンを考えていた。
これにジョブズが反応し、マッキントッシュ‧プ口ジェク卜に割り込み、そして、乗っ取る。
ラスキンとジョブズの違いは、ラスキンが、コストに妥協し、スクリ一ンは5インチ、プロセッサーは、安いが処理能カの低いモ卜口一ラの6809を採用しようとしたのに対し、ジョブズは、コス卜に妥協せず、パワフルなモ卜口一ラ68000、操作性を考えたマウス、軽快なGUI等を採用する。
追い出されたラスキンは、その後、Canonでキャッ卜という製品を作りあげるが、そのセールスは20000台程度で終了したようである。
ジョブズは、ラスキンのコンセプ卜を基に、マッキン卜ッシュ‧チ一厶の優秀なメンバ一が開発した様々な特徴的要素技術を組み合わせ、「めちゃめちゃすごいマシン」を創りあげたのである。
発明とは、私流では、「要素技術の組み合わせからなり、要素技術の少なくとも一つが新規な創作物又は発見であるか、要素技術間の関係性が新しいもの」と定義されるが、ジョブズは「めちゃめちゃすごいマシン」をめざして、要素技術間の関係性を新しく構築する、という点に創作性を発揮したのである。そして、その前堤には、パ一ソナルコンピュー夕はかくあるべし、という明確なビジョンがあったのである。
そういう意味で、ジョブズは、ビジョナリーであリ、技術の目利きであリ、総合プ口デュ一サ一である。と、ここまで来て、「あれ、そんな人、曰本にもいたなぁ」と、「千 利休と北大路魯山人」である。ジョブズ、利休、魯山人を対比すると、知財創出のヒン卜がわかるはずである。
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Posted by: masanori | March 02, 2012 01:39 PM