知財経営モデル
私が知財経営に進むきっかけとなったのは、平成14年11月に始まった東京大学先端科学技術研究センター 「知財人材育成オープンスクール」に入学したのがきっかけであった。
おりしも、弁理士会では、特定侵害訴訟代理資格のための研修が始まり、そちらも1期生として受けることとなったのであるが、私としては知財人材育成オープンスクールの方が興味は深かった。
当時は、特許侵害訴訟が脚光を浴びていたし、私も少なからず補佐人として訴訟に参加していたことから、特定侵害訴訟代理の資格はあった方が便利であったが、元来法学部出身であったこと、民訴は得意科目でもあったことから、今さらという気持ちもあった。しかし、試験を受けなければ資格をいただけない、というこもあってやむなく研修会に参加したのであった。
一方、知財人材育成オープンスクールは、弁理士だけでなく広く多方面で活躍する人材を集め、いわばMOT的な人材育成を図るものであった。そこで、マーケティングを始めとして、経営に必要な知識を学ぶ事となるのである。経営に知財を融合しなければならないことが言われはじめたのもこの頃からである。その後、東京理科大を皮きりに知財に関する専門職大学院やMOTができ始める。
しかし、実際の経営にどのように知財戦略を組み込むのか、マーケティングと知財の関係はどうなっているのか、という個別具体的なことについて明らかにしているところはなかった。この点についての興味は尽きず、個人的に探求してはいるので、徐々に私なりの成果は公表していきたい。
リーマンショックを境に日本経済の構造的問題が露呈し、特許出願数も激減することとなったが、危機的状況のなかで企業もようやく真の意味での知財経営の必要性を実感してきたようである。
もはや特許権を取得すればよいという時代ではない。特許制度を含め様々な手法を駆使して如何に競争優位なモデルを構築できるかが問題なのである。
オープンスクールに参加して既に9年経過。ようやく着眼していた知財経営を実現し、競争優位モデルを構築する時代になってきた。
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Comments
知的財産と知的財産権を組合わせて、価値創造やイノベーション創造に活用することが最重要であると思います。
そのためのキーポイントの一つとして、「請求項のイノベーション創造型解釈」というものがあると思います。
http://www.patentisland.com/memo313.html
Posted by: 久野敦司 | March 06, 2011 07:55 AM